【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第2章 直哉との3年間※
「悪口言うたな、少し…。」
「…それは良くないね。」
「…………………。」
直哉は少し項垂れて、頭をななの肩に付けた。
「せやけど、やり返してはあらへん…。」
ななは目を細めると、直哉の肩にそっと手を置いた。
「…うん、どんな理由でも暴力はいけないね…。」
ななは子供を諌める様に話す。
それに腹が立たないのは、初めてななから自分に触れてくれたからだ。
直哉はななの腕の中が心地よくて目を瞑った。
自分の全てを肯定してくれない人間は嫌いだった。
だけどなななら、それすら気にならないほど、今の時間が心地よく感じた。
これからずっとこんな時間が過ごせるなら、直哉は幸せだった。
ゆっくりとななとの時間を楽しんで、関係を進めるつもりだった。
だけど自分で思ったより、ななへの気持ちは大きく。
その性質は闇より深い事を、この時の直哉は自分でもわかっていなかった。