【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第15章 新しい感情※
どうせこの腕も、時間が経てばまたすぐに私を裏切るのだろう。
そう分かってがながらも、宥める様に直哉の頭を撫でた。
「直哉くん…動いていいよ…。」
本当は腰が畳に擦れて痛かった。
「…は……なな…。」
でもしっかりと私を抱き締めて、名前を呼ぶ直哉くんに身を任せた。
そして、直哉くんに同情すらした。
(きっと貴方は、私を好きになった事を後悔するだろう…。)
もう悩まなかった。
きっとこれが1番の直哉への復讐になると思えたから。
禪院家を出れたのは、もう夏真っ只中で、蝉の鳴き声が煩く鳴り響いていた。
ななは軽く髪を上げて、真っ青な空を見上げた。
いつだって禪院家を出れば、この自由な空の下に居るのに、自分は一体何に縛られているのだろうか。
そう言えば、あの日以来あの子を禪院家で見なくなった。
それが直哉がした事なのかたまたま見かけなかったのか。
直哉がななから隠したのか。
もうそんな事を考える気力も無かった。