【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第14章 潰れる心※
「…俺が憎い?なな。」
直哉の言葉に、ななは目を開けた。
自分を見下ろしている直哉の顔が、傷付いている様に見えて。
その顔に何故か怒りが湧いてくる。
「……憎いし、怖いし……逃げたい…。」
この直哉の世界から出て行きたい。
恨んで恨んで、嫌っても、引き摺り込まれるこの世界から。
そうして引き摺り込まれる自分が。
まだ直哉を好きだと勘違いしそうだった。
このまま終わらせたくない。
嫌だと逃げる自分を引き込んだのは直哉だ。
望んでいない関係を続けさせるなら、直哉の傷付く顔をもっと観たかった。
ななに憎いと言われて傷付くような顔をする直哉を許せるはずもなく、どうすれば彼がもっと傷付くのか考えた。
側に置きたいなら置けばいい。
ななはグッと直哉の背中に腕を回した。
けど、そうして側にいるななは。
決して直哉が望むななでは無いと。
教えてあげればいい。