【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第14章 潰れる心※
痛みに歪んだ目で見えた直哉の顔は、見た事がないほど冷たくななを見下ろしている。
痛いと直哉に伝えるには、屈辱的な気持ちが大き過ぎて、喉に引っかかった。
「…っ嫌だって…。」
それでも無理矢理キスをしてくる直哉を腕で避ける。
その度に、直哉の手が強くななの体を掴んでくる。
「大人しゅうしときって…痛いの嫌やろ?」
グッと髪の毛を掴まられて、痛みに目を瞑った。
ジワッと涙が出たのは痛みだけではない。
ななの涙を見ても止まらない直哉の手に、直哉の言葉が頭に響いた。
『ななの嫌がる事はせぇへんから。』
ななは薄っすら目を開けた。
直哉の肩越しに見える天井を見ながら、もうそう言って自分に触れてきた直哉は居ないのだと、涙が頬を伝った。
「…は……ぁ……。」
着物を脱がされて、直哉の舌が自分の体を這っている事に声が漏れた。