【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第14章 潰れる心※
「なな。」
直哉が名前を呼び、唇に触れてくる。
今までに感じた事の無い嫌悪感が、ゾクっと背筋を走った。
ヌルッと舌が唇に触れた時に、ななは勢いよく顔を逸らした。
「……は?」
直哉の低い声が聞こえても、恐怖より嫌悪感の方が勝ってた。
「……止めて……。」
グッと直哉の肩を押して、ななは顔を俯けて言った。
「なな。」
「嫌だって。」
直哉がななの顔を上げようと、顔に手を添えても、首を振ってその手を払った。
「絶対嫌!もう戻れない!」
そう言った瞬間、自分の体が反転したのが分かった。
「っ!」
鈍い痛みが背中と頭に走った。
一瞬息が詰まり、自分が直哉に床に投げつけられたのだと、少し時間が経って分かった。
自分がこんな風に、直哉に乱暴されるとは思わなくて、見下ろしている直哉の顔を見上げた。
「………ちょっと黙っとき。」