【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第14章 潰れる心※
直哉自身、確信している。
ななの心が離れた訳ではない。
ましてや五条悟に傾いているなど想像も出来ない。
今はまだこの状況に混乱しているだけで、自分の事を好きななななら受け入れてくれる。
そう思って話を進めている。
「ななが俺を好きにならへんなんて、嘘やろ。」
そう言って、久しぶりのななの体を抱きしめた。
「…直哉くん…。」
「ほんまにこのままでええの?このまま俺の側から離れる言うの?」
先程までの攻撃的な態度とは違って、いつもの様に囁く様に触れてくる直哉に、戸惑いを隠せない。
「…何で分かってくれないの?無理なんだよ…誰かと直哉くんを共有するなんて…。」
抱かれて直哉の匂いに包まれれば、胸がギュッと痛んだ。
その痛みが確かに、まだ直哉に気持ちがあると教える。
だけど、同じ位にこの腕が自分だけではない事実が胸を痛めつける。