【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第14章 潰れる心※
その時にチラッと見えた彼女の目が、ななの胸を締め付けた。
「…は…ぁ…直哉くん…。」
ななは直哉を見下ろして眉間に皺を寄せて睨んだ。
「…あなたは何がしたいの?」
「…そら、ななに聞きたいわ。」
直哉はスッと立って、ななの前まで来た。
肩を震わせて見上げるななの顔に、直哉は安心した様に笑みを浮かべる。
先程までの様に平然といられるより、ずっといい。
「私よりあの人を選んだのは直哉くんだよ?」
「俺がいつ選んだ?」
ななの肩を掴んで、ななを抱き寄せる。
「『形』がどうであれ、好き合うとったら、俺らには関係あらへんやろ。」
「…………直哉くんの隣に他の人が居るなら、私が側にいる事なんて出来ないでしょう。」
「何で?毎日おって、一緒に過ごすんはななだけやのに。」
何度話し合っても噛み合わない会話に眩暈がした。