【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第14章 潰れる心※
何のために、今日自分を呼んだのか。
そんな事を直哉に投げかける事すらもうしたくない。
ただ直哉の悪意から自分の自尊心を守りたい。
そんな悲しい考えしか頭に浮かばない。
もう恋人にも、幼馴染にも戻れない。
それが今日直哉と会って、ななが感じた率直な感情だった。
「…はよ出て行って小春ちゃん…。」
部屋を出る事を躊躇している小春に、直哉は低い声で言った。
それだけで直哉の機嫌が悪い事は手に取る様に分かる。
戸惑っていた小春も、グッと拳を握って部屋を出ようとした。
彼女を止めて、ななは自分が部屋を出ようとする。
「一歩も動かんといき、なな。」
直哉の負の感情に、ななの体が金縛りの様に固まった。
急に溢れる様に出る冷や汗に、ななは息が止まりそうだった。
ななに向けられた感情は、小春には関係がない。
固まったななを置いて、小春は部屋を出て行った。