【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第14章 潰れる心※
ななの声に、直哉はゆっくりと顔を上げてななを見た。
その冷たい表情にまた血の気が引いた。
「……ああ……こいつ禪院家の生まれの癖に、呪力全くあらへんねんで。
しょうもあらへんカスやで。」
直哉は改めて、真希を見ると、顔を踏み付けている足にグッと力を入れた。
「っ辞めてよ!直哉くん!」
それは咄嗟の行動だった。
直哉を払いのけて、蹲っている真希を抱き締めた。
ずっと痛めつけられていたのだろうか、ななの腕の中でも顔を顰めている真希を見て、ななはぎゅっと目を細めた。
直哉を見上げて、ななはハッと気が付いた。
ななを見下ろしている直哉は、見た事がない位に冷たい表情をななに向けていた。
その緊張感に、ななの背中にゾクリと悪寒が走った。
ザッと砂石を巻き込んで聞こえた直哉の足音に、ななは反射的に術式を出した。