【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第13章 夏の日
前から悟は、こうして小馬鹿にしたようにななを見下ろす事がある。
その度に、ななは苛立ちを悟に覚えている。
「……悟くんて、私の何処が好きなの?」
愛情を持って擦り寄ってきたと思ったら、こうして簡単に線を引く。
直哉よりもよっぽど理解に苦しむ悟は、ななからしたら宇宙人を理解する様なモノだった。
ななの言葉に、悟は一瞬驚いた顔をしてハッと笑った。
そして、ななに手を伸ばして、ななの顔を掴んで自分の方に寄せる。
「……ななって本当に可愛いね…。」
耳元で聞こえる悟の声色に、愛を囁く時の甘い感じがしなくて。
ななは眉間に皺を寄せて、自分の顔のすぐそばにある悟の顔を見た。
「俺好きって言った事あったっけ?キスして抱き締めたら自分の事好きだって、すぐ思っちゃうんだね。」
少し顔を離してそう言った悟は、笑っていた。
愉快そうに。
でもその目は冷静で、少しも笑っていない。