【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第13章 夏の日
「いやいや…、誘われたからやろうとしたら、『好きでも無いのになんでヤレるの?』って殴られた。」
分かる様な、分からない様な。
「…それで、どうしたの?」
「面倒臭えなって思いながら、ごめんねって謝った。」
「…………。」
笑ってななを見下ろす悟を見ながら、彼もまた充分と歪んでいるなと分かった。
「だからさぁ…、こんなに簡単にキスさせちゃダメだよ、勘違いしちゃうじゃん俺。」
ゴソッと悟の手がななの腰を掴んだ。
少し体を強張らせて、ななは悟の顔をチラッと見た。
笑みを浮かべながらななの顔を見ている悟は、ちっとも勘違いなんてしていない様に見える。
ななの反応をしっかりと見て、ななが悟に気持ちが無い事を分かっている笑みだ。
ななはパッと悟から顔を逸らした。
気持ちの中を見据えられている様な蒼い目が怖かったからだ。