【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第13章 夏の日
世の中の人はさ。
いちいち手に入れた後の事まで、責任持って見据えて付き合っていくのかね。
なんか、そんなのも面倒くさいよね。
それでも今は会いたくて。
会ったら抱きしめてキスをしたくなる。
それで充分ではないか。
「…なな…少し目を開けて…。」
ずっと目を瞑っていられたら、そのキスに誰を思い浮かべているか分りゃしない。
俺に言われて、ななは薄っすらと目を開ける。
少し涙を溜めて見上げたななの目線に、簡単に欲情するも。
それ以上は手を出さない。
ななの意思を無視して、その先へ進んだら、ただの暴力でしか無くなってしまうから。
「前にさぁ、ホテルに誘われて着いて行った女に殴られた事あったさぁ…。」
「え?」
急な悟の言葉に、ななは戸惑いながら顔を上げた。
ななの顔を撫でながら悟はジッとななの様子を見た。
「……無理矢理したの……。」
ななの訝しげな表情に悟はハッと笑った。