【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第13章 夏の日
その日も皆んなと談笑している時に、ふと目を伏せたななが目に入った。
ほんの一瞬の事だったが、その瞬間にななが誰を思い出したのか。
悟は分かっている。
まだアレから1ヶ月しか経っていない。
ななが完全に直哉に気持ちが無くなったなんて思っていなかった。
夏の始まりのある日。
大浴場から部屋に戻って来たななが、窓の外の煙に気が付いて、窓を開けた。
「……何やってるの?悟くん…。」
「え?花火。」
一階の部屋の窓の下を覗くと、悟が膝を折って座っている。
確かに手に花火を持っており、青い炎を出している。
わざわざななの部屋の前で?1人で?
学校の敷地内で花火をして良いのだろうか。
「ななもおいで。」
そう言って笑う悟に、ななは自分も庭に出た。
手持ち花火をするのはいつぶりだろうか。
しばらく2人で黙々とコンビニで買ったであろう花火を消化していく。