【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第12章 五条悟⑤
直毘人が現れて、もっと緊迫すると思っていた。
それなのに、当人同士は軽く挨拶を交わしている様な雰囲気だった。
そのぬるい空気に、直哉の奥歯がギリッと鳴った。
御三家の当主同人の話し合いに、直哉が入り込める隙がなかった。
嫌な予感がした。
そう思った時に、直毘人がななを見て睨んだ。
「何してる、さっさと出て行け。」
まるで汚物を見る目を向けられて、ななの体がビクッと跳ねた。
「……ななの事に口出すなや親父。」
直毘人の目線からななを守る様に直哉が前に出た。
その背中はいつもななを安心させるモノだった。
でも今は禪院家を出て行きたい。
直毘人の意思とななの意思が合致している。
「申し訳ございません当主様…、すぐに出て行きます。」
「黙っとき言ってるやろ。」
ななの言葉に、直哉はギロッとななを睨んだ。