【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第12章 五条悟⑤
「五条先輩…私の事は…。」
「黙っとれなな。」
ななの言葉を被せる様に直哉は言った。
「こら禪院家の面子の問題や。」
いつもななを諭す声より更に低い声に、さっきまで大丈夫だったななの体が強張って、喉がヒュッと鳴った。
今にも一触即発の緊張感の中で、誰も動かなかった。
ピリピリとした空気の中、悟だけが余裕な笑みを浮かべている。
「これはどうした事だ?」
張り詰めた緊張感の中で、悟と同じ様に余裕のある声色が響いた。
禪院直毘人だった。
酒を片手にフラッと現れた自分の父親に、直哉は睨んでその様子を見ていた。
「誰が人の家破壊していいって言った?五条家の坊よ。」
直毘人が悟に向かって歩くと、他の者がサーッと道を開けた。
ズカズカと歩いてくる直毘人に、悟はフッの笑った。
「ごめんなさい直毘人さん、お宅の息子さんがななに手を上げているのを見て堪えられなくて壊しちゃいました。」