【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第12章 五条悟⑤
「術式順転 『蒼』」
「!?」
大きな呪力の塊を察知した瞬間、蔵の扉が吹き飛んだ。
正気の沙汰じゃ無い。
この禪院家で術式をぶっ放してきた。
蒼の衝撃から逃げる様に、直哉はななを抱えて悟から距離を取る。
母屋の屋敷の屋根に乗るって、見下ろすと悟の周りが抉られている様に破壊されているのがよく分かった。
「……五条先輩…。」
頸動脈を締め付けられた痛みに、顔を歪ませて、ななは悟を見た。
すぐに悟の周りに禪院家の術師たちが放置している。
「…頭おかしなったんか?悟くん…。」
今の状況で、いくら悟でも無事に済むわけが無かった。
「いたって正常。今度は堂々と拐いに来た。」
ニヤッと笑って悟はななに向かって言った。
直哉がななの腰から手を離すと、ズルッとななはその場に膝を付いた。
大変な事が起きてしまっている。
悟を見下ろす直哉の表情は、未だかつて見た事無いほど怒りに歪んでいた。