【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第12章 五条悟⑤
「…なんでそんな事言うてん?」
直哉は本気で分からないのかもしれない。
だけど、もう直哉に分かって欲しいなどと思わなかった。
今はただ早く直哉から離れたかった。
スッと伸びた直哉の腕を払った。
直哉は少しも表情を変えず、ただななの行動を見ている。
「他の人に触った手で触らないでよ。」
そう言ってスッと椅子から立ったななを見て、直哉は笑った。
「?!」
そしてすぐに、ななの首を掴んだ。
「……ゔっ……。」
ギリギリと直哉が確実に気を失う様に頸動脈を締め付けてくる。
苦しさで、歪んだ目で見た直哉は、見た事もない冷たい目でななを見下ろしていた。
首を掴む直哉の手に爪を立てても、直哉は眉ひとつ動かさなかった。
「大人しゅうしときなな………起きたら……またやり直しやな……。」
調教をやり直すと言うのだろうか。
ななは薄れていく意識に目が閉じかけた。