【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第12章 五条悟⑤
でも、ここで待っていれば、直哉はすぐに気が付いて来るだろう。
それだけは分かっていた。
ガタンッと大きな音を立てて、重い扉が開いた。
入って来た逆光に目を顰めて、その直哉の顔を確認しようとしたが、結局扉が閉まるまで見れなかった。
「…なんちゅう顔してんねん…。」
「……………。」
入って来た直哉は口元は笑っていても、その目は笑っていなかった。
「来るの1日早ないか?」
「………………。」
ゆっくり蔵の中に入って来る直哉に、ななは何も言わないでジッと直哉の顔を見ていた。
椅子に座っているななの前まで来ると、直哉は手を伸ばしてななの頬に触れた。
その手が熱くて、直哉が部屋で何をしていたか伝わる様だった。
思わず眉間に皺を寄せて目を瞑ったななの表情に、直哉もまた顔を顰める。
「……直哉くん…。」
「あかんでなな、それ以上言うたら。」