【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第12章 五条悟⑤
ななが悟の腕を掴んだ。
「……やめて…。」
悟を掴んでいる手も震えていて、そう言ったななの顔は真っ青だった。
「……もういい…。」
直哉がこの部屋の中で何をしているかなんて分かっている。
そして、わざわざ現場を押さえななくても、直哉は誤魔化したりしないだろう。
ああ……もう本当にどうでもいいよ…直哉くん…。
本当はずっと分かっていた。
いくら直哉が禪院家から守ってくれていても、自分が認められる事なんて一生無かったんだ。
それでも直哉の側に居たのは。
隣に居た直哉だけは、自分を裏切らないと信じていたからだ。
そして、直哉は裏切った訳では無かった。
直哉が誰と結婚しようと、子どもを作ろうと、ななが離れない様に。
(…私を調教していただけだ…。)
何があってもななを手放さない。
それだけが直哉のななに対する愛の証明だった。