【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第12章 五条悟⑤
いや、本当に直哉くんは簡単だな。
自分達に結界を張って、禪院家に乗り込んだ。
勿論、腕の中にななを抱えたまま。
今、直哉くんの部屋に、他の女が居る光景を見て、ななが何を感じたかは聞かなくても分かった。
ななの体が震えているから。
さぁ……どうしようかな…。
まだ涙を堪えていられるならまだ余裕そうだ。
「どうする?乗り込む?」
悟の言葉に、ななはビクッと体を震わせた。
震えが大きくなり、唇を噛み締めているが震える唇は止まりそうもない。
「は…あ…。」
吐く深呼吸も苦しそうに震えていた。
それはそうだろう、今あの場に入って行ったら、決定的な場面を目撃する事になるのだから。
悟は勿論、そっちの方が都合がいい。
「なながあの窓を開けられないなら、俺が開けてやろうか?」
そうやって、わざと手を伸ばして直哉の部屋に近づこうとした。