【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第11章 五条悟④※
(難儀な性格やなぁ…。)
小春の話を聞いて、直哉が思った事は以上だった。
直哉がななを愛している事を知っている。
それでも禪院家の風習に従って、直哉の婚約者は自分だと自負している。
その様に小春を扱わないのは、直哉の匙加減だと言うのに。
それでもまだ、禪院家が決めた婚約者の矜持を保っている。
直哉は目を伏せると、小春の心情に思いを馳せた。
本来なら。
小春のこの気持ちは、ななに持って貰いたいモノだった。
直哉に小春と言う婚約者が居ても、愛されているのは自分だと信じて、その矜持を保って、自分の側を離れなくしたかった。
なのに、ななは直哉が他の女を娶っただけで離れてしまいそうだ。
(自分はななを甘やかせていただけなのやろか。)
いや違う。
禪院家に染まって貰いたいと思っていても。
直哉の名前を呼ぶななの笑顔が。
どうか変わらない様に。
ただそれだけを思って、ななに自由を与えたのだ。