【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第11章 五条悟④※
その悟が、ななを入学までこぎつけた様だ。
(……おもろないなぁ…。)
直哉は口元を手で隠して、目を細めた。
東京校の1年は、男ばかりだ。
その中にななを入れるのも面白く無い。
(少し、ななに釘を刺しとくか…。)
今日は会うつもりは無かったが、東京に行くとしようか。
「直哉様。」
直哉が腰を上げると、部屋の外から千春の声が聞こえた。
(今日は呼んだか?)
いや、毎日来いと言ったかもしれない。
直哉は襖をガラッと開けて、千春を見下ろした。
少し戸惑い気味の可愛い顔が目に入る。
「……出かけるさかい、今日はええで…。」
直哉はそう言うと、千春の横を通って廊下に出た。
ななに会いに行くのだから、千春に構っている暇は無かった。
(早よななにキスしたい。)
そんな思いしか頭になくて、その背中を見送っている千春の視線には気付かなかった。