【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第11章 五条悟④※
そのななの反応が、全ての答えで、悟の顔が一瞬曇った。
(ああ、本当に馬鹿な子だ。)
そう思うが、すぐに表情を戻した。
「大変だねーなな、これでもう直哉くんに渡せるモノが無くなっちゃったね。」
ニッコリ笑ってそう言う悟に、ななの顔がさーっと暗くなった。
何も言い返せずに、タオルを持っている手が震えた。
直哉と一線を越えても、拭いきれなかった不安…。
もしこの先同じ事があった時に、もう自分が直哉に捧げられるモノは何もなかった。
「……五条先輩に心配される事は何も無い…。」
すぐに、悟に背を向けて歩き出すが、強がっている事はバレバレだろう。
悟はいちいちななの神経を逆撫でする。
それは1番触れられたく無い逆鱗で、悟の一言一言に全てに苛立ちを覚える。
そんな事、言われる前から分かっていた。
バタンとドアを閉めて、ななは顔を俯かせた。