【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第10章 禪院直哉②※
振り出しに戻ったななに、直哉はため息を吐いた。
ほんまに、俺がこないに忍耐強いのを、初めて知ったわ……。
直哉は泣き続けるななに嫌気がさしても、抱き締めて泣き止むまでその頭を撫でた。
「うっ……そんな直哉くんなんて嫌い…。」
言いたい放題やな…。
しばらくはななから放たれる否定の言葉を、何も言わないで黙って聞いていた。
しばらく抱いていたら、少しななの嗚咽がおさまって来た。
「…… なな、俺を許せへんかったら、どないする訳?」
そう聞いた所で、ななから離れるなんて言葉が出ないのは重々承知だった。
そして直哉の思惑通り、許せなくてもどうする事も出来なかった。
ぎゅっと目を顰めて、ななは直哉を見る。
悔しいほど、大好きな顔が自分を見下ろしていた。
「……忘れられる位に……愛して……。」
全部直哉のモノにして欲しい。