【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第9章 私の知ってる直哉くん②※
まるで、中毒性のある薬の様だった。
ななはぎゅっと直哉の肩を掴んだ。
「……わ…ぅっ…別れ無いよ……っ…。」
両手いっぱいに、直哉を抱きしめる。
そのななに、直哉は満足そうに笑うのだった。
直哉の手が優しくななの頭を撫でる。
「だけどっ……嫌だ…っ直哉くんにっうぅ…他の……女のっ人っ……。」
もう涙と嗚咽で言葉が出なかった。
直哉に他の女の人が触れるのは嫌だ。
直哉が触れるのは、もっと許せない。
少しでも、その心に他の女の人を思う事なんてあってはいけない。
もう言葉を発する事を諦めて、直哉をぎゅうっと抱き締める。
別れるなんて言葉、言わないで…。
言葉にならなくても、ななは抱き締める事で、ソレを伝える。
「あほやな、なな…。」
直哉の声が、優しく、喜んでいる事が分かる。
「俺がなな以外を好きになるはずあらへんやろ。」
ななの言動に満足して、それは優しく囁くのだった。