【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第9章 私の知ってる直哉くん②※
その言葉の衝撃に、一瞬何を言われたか分からなかった。
別れる?
直哉くんが私と?
今何を言われているのだろうか。
見上げる直哉の顔が涙で滲んだ。
今、直哉くんはどんな顔をしている?
「……何で?……ひっ……そうなるの……っ?」
嗚咽が混じって、ハッキリ言葉が出なかった。
「…ああ…、言い方が違うたな……。」
直哉はスッとななが流す涙を指で掬った。
「千春ちゃんがおったら、俺と別れたいか?」
「……っう……ひっ……。」
黙っていても、嗚咽だけが漏れてくる。
あまりの酷い言葉に、今まで見せたことの無いような酷い顔をしているだろうが、そんな事は気にする余裕すら無かった。
「そないな事で離れへんやろ?」
まるでななの返事を分かっているかの様に、直哉は笑って言った。
確かめる様に直哉の顔が顔の近くに来て、軽く直哉の唇が頬に触れた。