【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第9章 私の知ってる直哉くん②※
ななの涙を見て、直哉は笑った。
似つかわしく無いこの状況の直哉の笑みに、ななは悟の理解出来ない笑みを思い出した。
ああ…あのなながやっと自分を思って泣いている。
その現実に直哉は嬉しくてたまらなかった。
「何で泣いてるんや?なな」
直哉は笑顔のままななの頬に触れた。
いつもなら直哉のこの手に目を伏せて、その感触を味わっていただろう。
でもそんな気持ちは起こりますせずに、ななは直哉を見上げた。
「……触らないで直哉くん。」
ななの真っ直ぐな表情に、初めて直哉の顔が歪んだ。
触れないで私に。
他の女の人を触った手で。
「……こら予想外やな。」
ななの拒否の言葉に、直哉の苛立ちが見えた。
ななは目を閉じてその涙を頬に伝わせた。
「誰にそないな事を言うてるんや?」