【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第9章 私の知ってる直哉くん②※
直哉の冷たい目線と、低い声。
苛立ちを帯びているその表情を見ても、いつもの様に怖さが無かった。
それより自身から湧き上がる怒りの方が遥かに大きい。
「怒って誤魔化さないで。」
ポロポロと涙を流しているのに、いつもの様に恐怖で震えた肩では無かった。
「別に誤魔化せへんで。」
直哉はそう言うとベットに座った。
そしてななを見上げた顔には、いつもの笑みが戻る。
「何が聞きたいんや?聞かれた事は何でも言うで?」
開き直っているとも見れる直哉の態度に、ななの目はさらに細くなる。
「……直哉くん…私以外の女の人と何してるの?」
何もしていない。
直哉から聞きたい言葉はその一言だけだった。
直哉はチラッと祈る様に結ばれているななの手を見た。
その手が震えているのを見て、直哉は一瞬顔を俯かせた。
「…そやな…気持ちよう抜いてもろてる。」