【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第9章 私の知ってる直哉くん②※
会いたいのに、会いたく無い。
そんなななの気持ちを嘲笑うかの様に、直哉が姿を見せたのはその1週間後だった。
こんなに直哉に無視された記憶は無かった。
自分に会わないと、おかしい位に取り乱した直哉はもう居ない。
その現実に、現れた直哉を見て、ななは目を細めた。
「なんや言いたそうな顔やな。」
直哉のその顔を見て、ななが言いたい事を、彼がもう分かっていると思った。
なんだか別人みたいだ。
そこにななの記憶にある直哉は居なかった。
もしかしたら初めから居なかったのかもしれない。
その直哉の表情を見て、ななはそう思った。
それでも、現れた直哉を見たら、会いたく無かった気持ちなんか吹き飛んで。
胸がぎゅっと痛くなって、切なさしか思い起こさなかった。
「…直哉くん…。」
直哉の変化を受けて、簡単に涙が出た。