【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第9章 私の知ってる直哉くん②※
そのまま離れようとしたななの腕を悟が掴んだ。
びっくりりして、振り返ると同時に、悟の腕の中に収められる。
流れる様なその行動に、ななは一瞬自分が抱かれているのに気付かなかった。
「やっぱり、あんた貰っていい?」
頭上から悟の声が聞こえて、やっと自分が悟の腕の中にいる事に気付けた。
グッと力を入れて引き離そうとしても、しっかりと背中と腰に回された手に動く事は出来なかった。
「……離して…。」
顔をぎゅっと歪めて、ななは悟に言った。
「ムカつかない?自分勝手に振り回す直哉くんに。」
確かに今、直哉には腹を立てている。
だけどそれが悟に抱かれている理由にはならなかった。
「私がどう思おうと、直哉くんと私の事で、悟くんには何の関係も無い。」
そう言いながら悟を睨み上げて、拒否する様に跳ね退ける腕の力を強める。
その小さくて、全く無駄な抵抗に。
悟は笑みを浮かべたままさらに抱いている腕の力を強める。