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【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎

第9章 私の知ってる直哉くん②※


足がガクガク震えて、背中に付いている木を掴んだ。

そうしなければ、崩れ落ちそうだった。




直哉くんが私以外の女の人と子供作る。




その行為がどんなモノなのかもう知っている。

囁く様なあの声と、愛おしそうに触れる手が、他の人と共有される。




そんなの堪えられるはずが無かった。



想像しただけで、涙が流れて足元に落ちていく。

その場に倒れそうな体に力を入れて、ななは悟の胸を押した。




自分から少し離れた悟を見上げた。

その挑む様な睨む様なななの顔に、悟は一瞬驚いた顔をした。




「…愛人…上等よ。」




悟を見ながらななはそれだけ言うと、震える足で悟の脇を歩いた。



嘘だった。

強がりだった。



そんなのは悟には気付かれて居るだろう。




だけど、残酷な言葉で泣いている自分を笑って見下ろしている様な男の前で。

これ以上弱さを見せたく無かった。



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