【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第1章 禪院直哉の婚約者※
しかし直毘人が折れない理由も分かっていた。
「なな、お前は俺の婚約者になるんやで?」
直哉の言葉にななは一瞬キョトンとした。
「え?だって直哉くん……。」
動揺しながらキョロキョロ目線を動かしてななは言った。
「私、術式待ってるよ?」
当主候補の嫁になるのなら非術師が望ましい。
相伝術式に重きを置いている禪院家。
特に当主クラスならその子供もまた生得術式を持って産まれるべきだ。
伴侶の術式が混じるのは効率が悪かった。
それは直哉も否定はしていない。
ななの言葉に直哉は目を顰めた。
そんな顔の直哉に見下ろされ、ななは体が強張った。
それが1番の障害だった。
禪院家の嫁候補はすでに遠縁まで含めて数人決められていて。
年頃になれば禪院家に相応しくなる様に花嫁修行もある。
そして何より禪院家を発展させれる程の持参金を用意出来る家柄と決まっている。
ななはどれにも当てはまらない。
「……そんなん、俺が何とかする…。」
直哉はそう言うと、ななの頭を撫でながら目を細めた。
「…直哉くん…何で?」
ななの疑問の言葉に直哉は撫でていた手を止めた。
「なな以外要れへん…。」
そやさかい、早う俺のモノにならんかい。