【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第7章 五条悟③※
ななのへの直哉の愛情を潰すつもりなんて無い。
せっかく直哉が育てたこの愛情は。
丸っと自分が貰うとしようか。
「…………離して………。」
ななはため息を吐きながら、顔を俯かせて言った。
悟の手からななの体が離れる。
「…早く、案内して…。」
ななは悟の顔を見ないまま言った。
どうせ東京に居ても、実家には帰れないだろう。
なら自分が行く場所は、この男が握っている。
悟はニッと笑ってななを見て言った。
「じゃあ戻ろうか。東京高専に。」
どうせ、直哉くんが迎えに来るまでだ。
直哉くんは迎えに来れないけどね。
本当にすぐに直哉くんが迎えに来ると思っていたんだ。
いつもの不機嫌な笑顔で。
それでもななに伸ばす手は優しく。
本当にこのまま東京に居ることになるとは、この時は少しも考えていなかった。