【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第6章 禪院直哉※
「…なな、何か話があるって?」
直哉はななが話しやすい様に、ななのおでこにキスをして、頭を撫でながら自分は怒ってないと伝える。
なな以外には絶対にやらない気遣いだ。
「……直哉くん……私もう蔵は嫌だ…。」
直哉の着物を掴むななの手が、グッと強くなった。
まだ少し震えている。そんなに直哉が怖いのだろうか。
その手を見ると、少し悲しくなった。
「そうやな……。」
直哉はななから離れると、ふぅっと大きなため息を吐いて、ソファに体を預けた。
「…………。」
そのまま何かを少し考えている直哉を、ななは黙って見ていた。
直哉は体を起こすと、思い詰めた様に言った。
「正直、俺もしんどかった。
悟くんがななを攫うたの見たら、もうななを鎖で繋ぐしかあらへんって思た。」
直哉の言葉を聞いて、ななの喉がヒュッと鳴った。