十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第6章 6
「ま、ま、ま、待って…?」
モコモコのセーターの裾から、潤さんの手が入って来ようとするのを、僕は咄嗟に掴んで止めた。
「どうして?」
「そ、それは…」
明確な理由なんてないし、今更拒むつもりだってない。
ただ、どうしても引っかかってたんだ、雅紀さんの言葉が…
「あ、あの、潤さんはその…」
聞きたいことは一つなんだけど、酔っ払ってるせいなのか、上手く言葉に出来ない。
でもちゃんとハッキリさせなきゃ…
だって、僕にとっても、それから潤さんにとってもとても大事なことなんだもん。
「じゅ、潤さんは、どっち…なんですか?」
「どっち…って?」
「だ、だ、だ、だからっ! 僕に抱かれたいのか、それとも僕を抱きたいのか、どっちですか?」
勢いに任せて言っちゃたけど、凄く恥ずかしくて、潤さんの顔すら見ることが出来ない。
やだなぁ、こんなどストレートに聞くつもりじゃなかったのに…
絶対変な子だと思われてる…よね?
って思ってたら案の定、潤さんは思いっきり吹き出してから、大笑いを始めた。
「そんな笑うことないじゃん…。これでも僕真剣なのに…」
そう、僕は一個もふざけてないし、至って真剣だ。
「ごめんごめん、別に茶化すつもりもないんだけどさ、この状況で聞かれるとは思わなかったからさ…」
確かにそうだけども…