十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第6章 6
その後も、潤子さんは知り合いと次々と挨拶を交わしながら、僕を紹介してくれた。
正直言うと、ちょっと嬉しかった。
翔くんは僕との関係を隠していたわけじゃないけど、よっぽど深い知り合いて、お互い信用し合っていない限り、僕を恋人だと紹介してくれることは無かった。
だから僕達の関係を知ってるのは、数人の限りられた人だけ。
別にそれで拗ねることもなかったし、〝ただの友達〟って言われることが嫌だったわけでもない。
でもこうやって〝恋人〟って紹介されるの、案外嬉しいもんなんだね。
初めて知ったよ。
それで…かな、思ってた以上に楽しくなっちゃって…
そしたらさ、当然お酒も進むわけで…
僕は潤子さんの忠告もすっかり忘れて、薦められるまま、次々グラスを空けていった。
で、案の定というかなんというか…
「うぅ…、気持ち悪い…」
お店を出る頃にはもうベロンベロンな状態で…
「だから言わんこっちゃない」
潤子さんに思いっきり呆れられた。
でもさ、仕方ないじゃん?
凄く楽しかったし、嬉しかったんだもん。
だからついつい…
「ごめ…なさい…」
タクシーに乗せられ、僕が謝ると、潤さんは僕の頭を自分の肩に乗せ、そっと頭を撫でてくれて、手を握ってくれた。