十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第6章 6
潤さんに連れられ着いたのは、表通りからは少し外れた、怪しげなお店が建ち並ぶビルの一角で…
地下へと降りる階段には、これまた怪しげな人達が何人も立っていて、ネットリと絡みつくような視線が、あちらこちらから向けられているのを感じる。
そっか、「俺の傍を絶対に離れるなよ」って、しつこいくらいに言ってたのは、こういうことなんだね?
納得…
僕は慣れないヒールで階段を踏み外さないよう、潤さんの腕に自分の腕を絡めた。
そしたら潤さんが、すっごい美女の顔をして、少しだけ嬉しそうに笑った。
防音になっているドアを開けると、そこはもう別世界というか…
ちょっぴり激しめの音楽に合わせて身体を揺らす、何人ものドラァグクイーンの人達がいて、潤さん…じゃなくて潤子さんを見るなり、待っていたかのように駆け寄って来た。
「やっだー、久しぶりじゃないのぉ」
「そう?」
「そうよぉ、ねぇ?」
潤さん…いや、潤子さんは声をかけてくる人達と挨拶を交わしながら、奥のバーカウンターへと向かうと、慣れた様子でバーテンと言葉を交わし、僕の耳元に口を寄せた。
「何飲む?」って。
でもさ、こういう場所って慣れてないから、何をどう頼め場良いのか分からなくて、潤子さんにお任せすることにした。