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十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】

第1章 1


「ごめん、今日はずっと前から約束してたし、無理だよ」
「えー、つまんなーい」
「ごめん…」

ニノとは家も近所だし、会おうと思ったらいつだって会えるけど、毎日忙しくしてて、朝晩送るメールさえ一方通行になりがちな翔くんとは、そう簡単に会えるわけじゃない。

だからこそ僕は翔くんとの貴重な時間を、何より優先したいし、大事にだってしたい。

僕は、僕を離すまいと絡み付いたニノの腕からそっと逃れ、エンジンがかけっぱなしになっていた翔くんの車に乗り込んだ。

それを見て翔くんも運転席に乗り込むけど、一向に車を発進させる気配はない。

「翔…くん?」

助手席から運転席の翔くんの横顔を覗き込むけど、翔くんは鋭い眼光を放ったまま真っ直ぐ前を向いていて、呼びかけにすら答えてはくれない。

「怒ってる…の?」

僕は思ったことをストレートに言葉にした。

元々、冷静に見えて気が短いところもある翔くんだけど、こんな翔くんは初めてかもしれない。


なんだか怖いよ…


「ねぇ、なんか言ってよ」

別に沈黙が嫌いなわけじゃない。
寧ろ、一人の時間が好きで、無口な僕にとってはへっちゃらで…

でもこんな重苦しいのは、好きじゃない。

「別に怒ってないし…」
「じゃあなんでそんな怖い顔してんの?」


眉間にシワなんかつくっちゃってさ…
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