十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第1章 1
シートに背中を深く預け、翔くんが深い溜め息を一つ落とす。
「なんつーか…、すげぇモヤモヤするっつーか…」
「何…が?」
「言ってたよね、肌身離さずって」
「うん」
実際、僕はその言葉通りにしてきたし、翔くんだってそれは分かってるはず。
「じゃあさ、なんでアイツん家にあるわけ?」
「それは…」
「なにか特別な事情でもあった、とか?」
その事情ってやつが分かってたら、僕だって言い訳の一つくらい出来るんだろうけど…
「アイツん家泊まったって言ってたよね?」
「うん。でもそれは…」
今までだって何度もあったことだし…
「ってことは、一緒に寝たんだよね?」
「う、うん…」
ニノが借りてる部屋は、六畳一間に狭いキッチンがあるだけのワンルームで、仕事用のPCやゲーム機が部屋の大半を占領していて、布団を二組敷けるだけのスペースはない。
当然、同じ布団に寝ることにはなるんだけど…
「服は? ちゃんと着てた?」
「え…?」
「だ、だから! パンイチとか、裸…とかじゃないよな、って聞いてんの」
何が言いたいの?
「もしかして…、疑ってるの?」
「そういうわけじゃないけど、ちょっと気になって…」
何それ…
完璧疑ってんじゃん…
なのにハッキリ言わないとか、ずるいよ。