十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第1章 1
「どうしてって、俺にそれ聞くの?」
「どういう意味?」
言ってる意味全然分かんないよ。
「自分で考えれば?」
「何それ…」
僕は翔くんみたいに頭も良くないし、ニノみたいに勘が鋭いわけでもないから、ちゃんと言ってくれないと分かんないよ。
やだな、なんか泣きそう…
ニノがいる前で泣きたくなんかないのに…
「何って…、じゃあ聞くけど、なんでソイツんとこ泊まったこと、俺に黙ってたの?」
「それは…、ニノは弟みたいなもんだし、普通に遊んだりもするし…」
これまでだっても泊まったことあるし、その逆だって当然あるし、恋人だからって一々報告する必要もないと思ってたし…
「ふーん、弟ね…。智くんは弟だと思ってても、ソイツは違うでしょ?」
「そ、それは…」
確かにそうかもしれないけど…
翔くんの言う通りかもしれないけど…
でも…
どう言葉を返して良いのか分からずにいると、ニノが物凄い力で僕の腕を引っ張り、僕の身体は簡単にニノの両腕の中に包まれてしまった。
「ねぇねぇ、櫻井先輩が行かないならさ、俺達だけで行こうよ。ね、そうしよ?」
「で、でも…」
チケットは翔くんが持ってるし、何よりこんなわけ分かんない状態で映画なんて、ただでさえ乗り気じゃなかったのに、更に気分じゃなくなってきちゃって…
ここはちゃんと僕がニノに言わないと。