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十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】

第5章 5


「じゃ、じやあさ、どっちがどっちだったの?」
「どっち…って?」

僕の問いに、今度は雅紀さんが首を傾げる。
でもすぐに意味を理解したのか…

「潤は、今まで誰のことも抱いたことないよ」

そう言って、少しだけ顔を赤くして、それからはにかむように笑った。

「そう…なんだ?」

意外だった。

僕が知ってる潤さんは、どちらかと言えば男らしくて…

勿論、ドラァグクイーンの時は女性っぽくもしてるけど、普段はそんな素振りは一度だって見せたことが無い見せたことがない。

だから、潤さんが抱かれる側だと聞かされたって、全然ピンとは来ない。

「意外だった?」
「まあ…ね」

雅紀さんに聞かれて曖昧な返事を返した僕。


でもちょっと待って?

ってことはさ、つまり僕が潤さんを…?
え、嘘でしょ?

僕だって、抱かれたことはあっても、抱いたことなんて、一度もないのに…


「どうしよう…」
「何が?」

思わ口から漏れてしまった心の声に、雅紀さんが反応する。

「だって、僕、潤さんを抱くとか、考えたことなかったんだもん」

正直に思ったことを口にする僕に、雅紀さんは一瞬目を丸くして、手から滑り落ちそうになった中華鍋を慌てた様子で支えた。

それから、店の外にまで聞こえるくらい大きな声で、笑い始めた。
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