十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第5章 5
「しっかし驚いたな」
まかないの雅紀さん特製チャーハンを掻き込みながら、雅紀さんが言う。
っていうか、お口に物入れたまま喋るの、お行儀悪いって教わらなかった?
ほら、もぉ…、米粒いっぱい飛ばしてるし…
「まさか智があの潤と付き合うとはね。いやー、びっくりだ」
「そんなに驚くこと?」
僕が聞き返すと、雅紀さんはめちゃくちゃ笑顔で頷く。
「オレさ、嬉しいんだよね」
「何が?」
「潤てさ、案外偏屈で頑固じゃん?」
確かに、雅紀さんの言う通り、潤さんは頑固で偏屈なところがある。
案外…どころじゃなくてね。
「それにあの趣味でしょ? なかなか難しいっていうか…さ」
まあ…ね、僕もそういった趣味や、世界があるのは知ってたけど、実際に会ったのは初めてだし、全く驚かなかったわけじゃないけどさ…
「だからさ、智が潤を選んでくれたの、超嬉しくってさ…」
「大袈裟だよ…」
それに、選ぶとか選ばないとかの問題じゃないとは思うけど、あえて言うなら、僕が潤さんを選んだわけじゃない。
潤さんが僕を選んでくれたんだもん。
こんな僕を…
でもさ、僕にはどうしても雅紀さんの気持ちが理解出来ない。
だって潤さんは元彼でしょ?
なのに、そんな風に喜べたりするもの?
僕には出来ないよ。