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十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】

第5章 5


潤さんの寝息が聞こえて来たのは、それからすぐのことで…

でも僕は何故だか全然眠りに就けなかった。

多分…だけど、この状況に慣れていないからなんだと思う。

勿論、潤さんの部屋に泊まったことは何度もあるし、一緒に寝ることだって当たり前にあったし、眠れない…なんてこと一度もなかった。


第一、どこでも寝られるってのが、僕の自慢だったし、特技でもあっ筈なんだけどな…


なのに、恋人と呼び合える関係になって、こんな風に腕枕なんてされた途端… だから、流石に自分でもちょっと戸惑ってる。


でも…、潤さんの腕の中、けっこう落ち着く。


僕はそっと潤さんの胸に耳を寄せ、規則的に打ち付ける心臓の音に耳を澄ました。

そしたらさ、不思議なんだけどね、自然と瞼って重くなって来るんだよね。

僕は自分と、それから潤さんの鼓動を感じながら、ゆっくりと眠りに落ちて行った。




翌朝、案の定自力では起きられなかった僕は、潤さんに叩き起され、潤さんに送って貰い家に帰った。

それから大急ぎで仕事の支度をして、店に向かうと、雅紀さんが半泣きで僕に抱き着いて来て…

「ごめんね」って何度も繰り返した。


別にさ、雅紀さんに謝って貰わなきゃいけないことなんて、本当は何も無かったのにね。

だってあれは、不慮の事故みたいなもんじゃん?
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