十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第5章 5
身体が急にフワッと浮いたような気がして、慌てて瞼を持ち上げると、丁度ベッドに運ばれている途中で…
「あ、あの…」
驚いて声を上げ、潤さんを見上げた僕に、潤さんは優しい笑顔を返してくれた…と思ったら、ベッドにポーンと投げられた。
「あー重かった」って、笑いながら。
ほんと、酷いよね?
せっかく、人生初(多分)のお姫様抱っこだと思って、ちょひり浮かれてたのにさ…
「重くてすいませんでした」
僕は心の中であっかんべーをした。
でも、潤さんにはしっかり見抜かれていたようで…
「思ってもないくせに」
潤さんはクスクスと肩を揺らしながらベッドに潜り込むと、左手をポーンと投げ出した。
「ほら、寝るぞ」
「え、は、はい…」
言われるがまま僕は潤さんの隣に横になるけど…
ねぇ、これって腕枕ってやつ…だよね?
え、腕枕なんて、僕されたことないんだけど。
だって、翔くんは僕が強請っても、いつも腕が痺れるからって…
だからある日を境に、僕は強請るのをやめたんだ。
僕が戸惑っていると、潤さんが僕の腕を引っ張った。
「明日も仕事なんだろ? 朝、起きなかったら置いてくからな」
「え?」
「だから、朝家まで送ってってやるから、早く寝ろって言ってんだよ」
そう言って潤さんは僕を腕の中に抱き込み、僕のおでこにキズした。