• テキストサイズ

十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】

第5章 5


「雨、止んだみたいだな」
「ほんとだ…」

潤さんお手製のややこしい名前のパスタを頬張りながら、窓の外に目を向けると、つい数時間前まであんなに強く降っていた雨はすっかり止んで、星までキラキラとしている。


泣いたかと思ったら笑って、また泣いて…、まるで僕みたいだ。


「そう言えば、お前良くここまで一人で来れたな」
「なんでだろうね? 僕にも良く分かんないや」


そう言って笑ってはみたけど、実際僕もそれは不思議だった。

何度来ても途中で迷子になって、最終的には潤さんに助けを求めなきゃいけないのに、誰の手を借りることなく辿り着けたことが、不思議で仕方なかった。

「ひょっとして、僕の方向音痴が治った…とか?」
僕が言うと、潤さんは口に含んでいたワインを一瞬吹き出しそうになって、それから大笑いを始めた。

「んなわけあるか」って。

潤さんは、そこまで笑うかって言うくらい笑って言うけど、僕、けっこう真剣だったんだけどな…


酷いんだから…


「お前といると、マジで退屈しないわ」
「ねぇ、それ褒めてます?」
「褒めてるに決まってるだろ?」
「本当に?」


なーんか嘘っぽいんだよな…

それに、さっきから笑い過ぎだし…
/ 279ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp