十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第5章 5
「雨、止んだみたいだな」
「ほんとだ…」
潤さんお手製のややこしい名前のパスタを頬張りながら、窓の外に目を向けると、つい数時間前まであんなに強く降っていた雨はすっかり止んで、星までキラキラとしている。
泣いたかと思ったら笑って、また泣いて…、まるで僕みたいだ。
「そう言えば、お前良くここまで一人で来れたな」
「なんでだろうね? 僕にも良く分かんないや」
そう言って笑ってはみたけど、実際僕もそれは不思議だった。
何度来ても途中で迷子になって、最終的には潤さんに助けを求めなきゃいけないのに、誰の手を借りることなく辿り着けたことが、不思議で仕方なかった。
「ひょっとして、僕の方向音痴が治った…とか?」
僕が言うと、潤さんは口に含んでいたワインを一瞬吹き出しそうになって、それから大笑いを始めた。
「んなわけあるか」って。
潤さんは、そこまで笑うかって言うくらい笑って言うけど、僕、けっこう真剣だったんだけどな…
酷いんだから…
「お前といると、マジで退屈しないわ」
「ねぇ、それ褒めてます?」
「褒めてるに決まってるだろ?」
「本当に?」
なーんか嘘っぽいんだよな…
それに、さっきから笑い過ぎだし…