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十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】

第1章 1


鈍感な僕に比べ、何かに付けて敏感なニノが、翔くんの微かな表情の変化を見逃す筈もなく…

翔くんの方にチラリと視線を向けると、唇の端を歪ませ、ニヤリと笑った。
ニノがそういう顔をする時は、必ずと言っていいくらい、良くないことを企んでいる。

僕は面倒なことになる前にと、ニノからブレスレットを受け取ると、翔くんの腕を掴んだ。

「サ、サンキューな。じゃあ、僕達これから出かけるから…」

とにかくさっさとこの場から立ち去りたかった。

なのにニノのやつ…

「どこ行くの? 俺も一緒に行っていい?」
「え、それはちょっと…」
「いいじゃん、俺も一緒に行きたい。ね、良いよね、櫻井先輩?」

僕の空いた片方の腕を掴み、ニノが小悪魔風味タップリの笑顔で、僕越しに翔くんを覗き込む。

「無、無理だよ。ねぇ、翔くん?」


お願い、無理だって言って!


僕は心の中で強く願った。
信じてたんだ、翔くんなら絶対断ってくれるって。

なのに…

「別に俺はかまわないけど? つーか、俺、今日の予定キャンセルするわ」


どう…して…?

だってずーっと見たいって言ってた映画の公開初日だよ?
映画なんて、確実に眠くなっちゃうって言ったのに、この日だけは絶対に空けとけって言ったの、翔くんの方だよ?

なのにどうして?
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