十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第5章 5
全てを聞かなくても、ニノが言いたいことは分かった。
雅紀さんは濁してたけど、潤さんはハッキリ僕に言ってくれたから。
雅紀さんとは、以前付き合ってたことがあるって。
それから、雅紀さんは今でも潤さんのことが好きなんだってことも、全部。
だから何を聞いたって驚くこともないし、気持ちが変わることもない。
僕は、電話越しではあるけど、ニノにハッキリと潤さんと付き合うことにしたと伝えた。
雅紀さんのことは気になるけど、ニノに任せておけば安心…だと思う。
潤さんは、雅紀さんの気持ちはまだ潤さんにあると言っていたけど、実は僕はそう思っていない。
雅紀さんは多分…だけど、ニノのことが好きだから。
僕はまた後で連絡するとだけ言って電話を切った。
そして潤さんの方を向くと、それまで僕の手首に飾られていたブレスレットを外した。
そう、翔くんとペアで買った、あのブレスレットだ。
あの事故の日以来、一度も僕の手首から外すことはなかったブレスレットを、僕は潤さんの目の前で外し、潤さんに差し出した。
「捨てといて」って。
「良い…のか?」
「うん。僕にはもう必要ないから…」
ブレスレットを受け取った潤さんは、当然目を丸くして驚いていたけど、僕はそれくらい真剣だった。