十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第5章 5
僕は自分の感情に若干の戸惑いを感じながら、それでも潤さんの肩に腕を回し、キュッと結んだ潤さんの唇に、自分の唇を重ねた。
初めて…だった。
これまで翔くんとしかしたことなかったキスを、他の人とするのは、初めてのことだった。
だから…かな、ほんの少しの罪悪感を感じてしまう。
「さと…し…?」
そして潤さんも、突然のことに凄く驚いた顔をしている。
「良い…のか? 本当に俺で…」
「今のキスが僕の答えだよ」
これで良いんだ、これで…
だってそうでしょ?
翔くんは僕よりも別の人を選んだんだ。
だって翔くんて、凄くせっかちだからさ、きっと僕を待つことに疲れちゃったんだよね?
だから…
僕は少しだけスッキリした気持ちでスマホを手に取ると、雅紀さんに電話をかけた。
本当はニノに先にかけたかったけど、仕事も全部ほっぽり出して見せを飛び出してしまったことを、謝らなきゃって思って。
そしたらさ、電話口に出た雅紀さんは案の定とゆーか、半泣き状態で…
結局、あれからずっと店にいて僕の連絡を待っていたんだろうね、ニノが電話を代わることになった。
ニノは何度も僕に言った。
「本当にそれで良いんだね?」って。
それから、「潤さんはまーくんの…」とも。