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十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】

第1章 1


「ニノ、それ…」

僕の視線を辿るように、ニノが自身の手首へと視線を落とす。
そして徐に留め金を外すと、僕の目の前でジャラリと音を立てた。

「これ、この間うちに泊まった時忘れてったでしょ?」

言われた瞬間、僕の心臓がありえないくらいの強さで脈打った。

だって、翔くんが見てる前で返されるだけならまだ良かった(全然良くはないけど…)
まさか、ニノの手首から外して渡されちゃったら、当然だけど隣で僕達のやり取りを見ていた翔くんの顔からは微かにあった笑顔も消え失せ、代わりに怒ってるような…、でもちょっと悲しそうな表情に変わった。

多分だけど、相手がニノだったからいけなかったんだと思う。

ニノは僕達の高校時代の後輩で、僕に至っては家も近所だったこともあってガキンチョの頃から仲は良かったし、下の兄弟がいない僕にとっては、ニノは弟みたいな存在だった。

ニノは違ったみたいだけど…

ニノは僕を恋愛対象として見てたし、実際、冗談なのか本気なのかは分からないけど、告白だって何度かされた。

その度に、僕には翔くんがいるからって断って来た。

翔くんもそのことを知ってるから、だからこそ今まで見せたこともないような、微妙な顔をしたんだと思う。

それからニノも…
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