十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第4章 4
潤さんの運転するド派手な車で送って貰う道すがら、僕はずっと翔くんのことを考えていた。
もし、僕が潤さんと〝シタ〟にしろ〝シテない〟にしろ、同じベッドで…しかも裸で寝てたなんて聞いたら、翔くんは怒るのかな?
ニノにだって、あんなにヤキモチ妬くんだもん、きっと嫉妬に怒り狂うだろうな…
あーあ、僕って、なんておバカさんなんだろ…
「どうした、さっきからずっと黙ってるけど」
「別…に…」
「ふーん、俺はまた〝元彼〟のことでも考えてんのかと思ったよ」
うっ…、何で分かったの?
ってゆか、〝元彼〟じゃないし。
翔くんは今だって僕の〝彼氏〟…で良いんだよね?
僕は助手席の窓から見える、きっと翔くんがいる場所まで繋がっているだろう空を見上げた。
すると、目が覚めるような真っ青な空に、一筋の飛行機雲が伸びていて…
あの雲を辿って行ったら、翔くんの所まで行けるんだろうか?
そんな途方もない想像をしてしまって、僕は小さな溜息を落とすと、少しだけ重くなった瞼を閉じた。
でも…
「一つ聞いてもいいか?」
カーステを止めた潤さんに、そっと手を握られて、僕は咄嗟に手を引っ込めた。
「な、何です?」
多分…だけど、僕が凄く怯えていたように、潤さんには見えたんだと思う。
潤さんはやれやれといった風に、肩を少しだけ竦めた。